モールス

夜の終りにのモールスのレビュー・感想・評価

夜の終りに(1961年製作の映画)
3.5
とてもアンジェイ・ワイダ監督の作品とは思えなかったです。作風はゴダールかカラックスかというぐらいのヌーヴェルバーグ調に仕上がってます。
男女の一夜のアバンチュールをスタイリッシュな映像と洒落た会話は面白いと思いますね。
ワイダ監督の真価は間違いなく抵抗三部作にあるのですが、彼にとっての異色作でした。本作の完成度は名匠であることを再認識させられます。
仕事や恋に大変器用な主人公アンジェイが、ある夜に逢ったペラギアという女性は魅力的でありました。彼女に翻弄されるアンジェイ…。口説くほうがアンジェイなので、一見彼が主導権を持ってるように見えます。日本でいう野球拳のようなゲームをしてる時はペラギアをいじめてるように見えます。でも現実は男が女に口説かされてるだけなのです。そこの描き方は上手いと言いたいです。
単調なストーリーですが、洗練されたヤングアダルトの恋の駆け引きは恋愛の醍醐味を描出してます。
個人的に興味があるのは、共産国家ポ ーランドで本作を制作した意図です。新しい時代のポーランドを表現したかったのでしょうか?このような作品が世に出たことが、共産主義を受け入れることに躊躇する国民の気持ちを暗喩してるように思えますね。これ、考えすぎでしょうか?
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