水無月右京

WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常の水無月右京のレビュー・感想・評価

4.0
コメディタッチでテンポもよく、見終わった後ちょっぴりほのぼのした気持ちになれる作品です。本作は、大学受験に失敗した冴えない主人公が、パンフレットの美女に釣られて林業と周囲の人々に出会い成長していく青春ドラマ。動機が不純ってところが、若々しくて良いですね。

山里に比べれば都会っ子な主人公。山に入るとカルチャーショックの連続です。携帯は圏外だし朝も早い。現場は急斜面なこともあって、雨が降れば落石や倒木で山道がふさがれ取り除かなければならないし、厳しい四季を通じての高所での枝打ちに間伐、植林など、やらなければならないことがたくさん。山と木の管理の大変さが伝わってきます。ヒルの洗礼にマムシ騒動を含め、本作では全体的にコメディタッチに描かれているのですが、それがかえって現場は本作の100倍大変なんだろうな・・・と感じさせられ、現場の方々の大変さに少し想いを馳せたのでした。

自然の中でのお仕事ということで、色んなところにちいさなお地蔵さんが祀られていたり、山神様への神事があったり、木の育成は100年仕事だから自分の仕事の成果を自分の目で確認することができなかったりといった、現場の人たちにとっては当たり前であろう事が、携わったことのない自分にとってどれも新鮮に映りました。

本作を見るまでは、林業に対して正直ネガティブな印象(花粉症の原因で斜陽産業なんでしょ的な)を持っていたのですが、こうして取り組む人達の姿を目の当たりにすると、所得の向上や産業活性化に向けた取り組みで、日本の林業(伝統)を守って貰いたい・・・という想いに変わりましたね。

見て良かったです。楽しめました♪

※少し興味が出てきたので、林業が衰退した原因について調べました。

戦後復興から高度成長期にかけて木材需要が増加、儲かる産業ということで積極的に植林が進められていたのですが、あまりの需要爆発ぶりもあって、政府が木材輸入の自由化を決定したんだそうです。これがきっかけとなって、海外から安価な資材が流入、価格競争の関係で衰退して今に至るそう。

悲観ばかりじゃつまらない(儲けの種は落ちていないの?)ということで、成長機会や努力シロについても調べてみると、工夫すればまだまだ稼ぐことはできるようです。1本1本の木の成長と枝打ち実施時期の履歴をデータベース化することで、タイムリーかつ効率的な"枝打ち"を実現、工数低減と付加価値の高い節なし資材の商品化を進める工夫であったり、山から運び出す手間を減らす"山道作りの工夫"であったり、切った後の乾燥工程で、割れや曲がりを減らしつつ強度を高めて商品力を向上させる工夫などがありました。環境変化に正面から取り組んで頑張り続けているところは、きちんと稼げているようですね。

ただ、自分がやるかとなると、生きているうちに投資回収できないからナシかな。足の長いビジネスということもあって、ある種の参入障壁が存在する業界ゆえ、旧態依然としていて発展が遅れているというのが実際の姿なのかもしれない…と思いました。