くじら

ラスト・エネミー 近未来監視国家の陰謀のくじらのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

次世代の監視社会を描いた作品。前編に二本、後編に三本収録。このカンバーバッチは数学?の研究者で弟でした。若い。
 国家の陰謀、IDやTIAによる監視やその恐怖、兄弟と兄の妻の間の心の揺れ動き、忍び寄る殺意と誰を信じたらいいのか分からない政府側の動きなどが魅力。

あらすじ
 そこまで好きではなかった兄の葬式へいくスティーブ。兄は難民の元へ薬を運ぶ途中地雷の爆破で亡くなったそう。実家へ戻るとぐったりした女性がベッドに。そして葬式に来ていなかった兄の妻に会う。喪失感を抱えた兄の妻(医者)とスティーブは関係を持ってしまう。次の日兄の妻は失踪。ベッドの女性は亡くなっていたがどこかへ行ってしまう。スティーブは彼女を探すため、政府の次世代監視システムTIAに協力する。
 彼女を探すうちに彼女が会おうとした人が目の前で亡くなったり、ベッドの女性の養父を名乗る人物に誘拐される。その後色々あって兄の妻とスティーブはその人物に誘拐された後協力してもらう。身体にタグが付いていると知り、それを利用する。
 実は死んでなかった兄が難民キャンプでワクチンを打った人と共に帰ってくる。何とか事情を理解し、ワクチンについて協力する。ワクチンを摂取した難民たちからサンプルを採取するはずが駅では偽IDでは通過できず捕まってしまう。兄と妻は逃げる。スティーブは中国で研究を続けるよう言われる。
 空港でワクチンが小さいタグだったことに気付いたスティーブは兄たちのもとへ行こうとするも、IDが使えなくされる。その後IDを持たない主義の人々に助けられたり、爆破テロに巻き込まれたりする。
 ワクチンを打っていた兄は体調が悪くなるものの回復。スティーブは指紋を偽造し難民たちの血液を採取。その結果を出した教授は勝手に実験を進めたことで養父を名乗った彼に始末される。
 真相は国民にタグを打ち監視するだけでなく、人種別に感染させ、テロを防止するという目的だった。スティーブは厳重に監視され、兄は始末され、兄の妻は国外から帰れなくなる。

感想
 監視社会、感染病、人種差別などの要素があってタイムリーだと思った。感染病で亡くなった人の死体を燃やすことにショックを受けてたことや、感染病患者が街を歩いたりワクチンで症状が出たことが分かっている兄にハグなどスキンシップを取りすぎてて驚いてしまった。(感染するものではないけど)
 最後、システムにとってのラストエネミーはスティーブだったこと、スティーブたちがやってきたこと全てが無に期したことが虚しさを感じるエンディングだった。
 弱者や不都合を踏み潰し隠蔽する「完璧なシステム」という作りは懐かしさも感じるが、完璧なシステムはなくとも隠蔽は常に起こっているので、市民側の監視も必要だと思った。(この作品では全て踏み潰されてる)あとワクチン陰謀論でもあるので、今だったらワクチン接種に影響があるかどうかも考えて作品を作ってたかもなと思う。
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