Maoryu002

少女は自転車にのってのMaoryu002のレビュー・感想・評価

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)
3.7
厳格なイスラム社会に生きる10歳の少女ワジダは自転車を買ってもらえず、賞金目当てでコーランの暗唱大会への出場を決める。一方、ワジダの母親は男児を授かることができず、父親は二人目の妻を娶ろうとしていた。

サウジアラビアの日常を見ることができる貴重な映画だ。
しかし、自由のない女性たちに一夫多妻、自爆テロへの称賛と暗黒世界を見ているかのようで、とにかく息苦しすぎる!

そんな環境にあっても、明るく楽しく仕上がっているところが素晴らしい。
小さなユーモアや、子供たちの生き生きした姿が、100分という短い時間に上手く散りばめられているからだろう。

自転車は解放や自由の象徴。母親は娘と2人で生きていくことを決め、娘の幸せを願って自転車を買ってあげる。
ワジダが自転車に乗って走り去るラストに込められた強い思いが伝わってきた。

だが、ワジダの活躍よりも、美人のお母さんが自分の力で苦悩を振り払い、前向きに生きようと変化していくドラマの方が印象的だった。
それもあってか、母子をないがしろにする父親に腹が立つ!

こういう映画を観ると、どうしても宗教そのものを否定したくなるけど、きっとどう解釈して生活に取り込むかということなんだろうなー。
政治も経済も宗教も時代とともに変わっていくものだから、ワジダの生きる世界もいい方向に変化していくと信じたい。
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