けーはち

少女は自転車にのってのけーはちのレビュー・感想・評価

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)
3.5
まだまだ女性の行動に制限をかける風潮が強いサウジアラビア。女性が公の場で自転車やオートバイに乗ることが許されるようになったのは2013年。自動車や映画館が解禁されたのはつい今年のこと。女がアクティブに行動範囲を広げたり、暗がりで不特定多数の男と席を同じくするなどもっての他なのだ。そんな国の出身の女性監督が女性目線で描いた「自転車を欲しがるおてんばな女の子」の映画。少女は自転車を買う賞金を得るため、コーランの読解・暗唱大会で優勝をめざす。社会の常識からはみ出すようなことをしたいがために、社会の規範の根源のコーランを必死に覚えるという、皮肉が非常に効いている。サウジの乾いた地、女性の生活の機微、一夫多妻や社会的規律の空気感などがありありと感じられる繊細なドラマだ。第一夫人が男を産まないから第二夫人を娶るっていう旦那が出てくるが、完全に日本人なら江戸時代の武士の感覚だねぇ……