荒野の狼

ネオン蝶 第二幕の荒野の狼のレビュー・感想・評価

ネオン蝶 第二幕(2013年製作の映画)
4.0
2013年に制作されたネオン蝶は全4幕(4回)からなる作品で、本作は第二幕。各回(幕)は77分なので、連続ドラマの二回分程度の内容。映画と考えると4回分みると5時間を超える大作となるが、テレビドラマにすると8回分ほどで短いシリーズである。本作は後者のような捉え方でみると、(説明不足の感があるくらいに)展開が早く感じられる。
主役の小松彩夏が演じる桜子は、第一幕では故郷の岩手県から上京しスナックではじめて夜の世界ではたらくというものであったが、第二幕は、桜子が銀座でホステスのデビューをする。ここでは、先輩ホステス(太田千晶)の嫌がらせを受けながらも、会社の会長(森次晃嗣)をパトロンとして成長していく過程が描かれる。
特撮ヒーローファンには、「実写版セーラームーン」でセーラービーナスを演じた小松が、「ウルトラセブン」のモロボシダンを演じた森次との共演は、愛人とパトロンという設定では見たくないという先入観が働いてしまう。ところが、本作を実際に見ると、森次は小松の成長を助ける紳士であり、二人とも特撮ヒーロー・ヒロインの像を裏切らない内容。
太田千晶は、本作の前半ではネオン「蝶」ならぬ「毒蛾」の片鱗をみせて、ナンバーワンホステスという役柄を魅力的に演じている。特に二人の同僚を引き抜いていて、独立に乗り出し新宿の道を闊歩するシーンは美しい毒蛾ぶりだが、勢いのあるのはここまで。展開が早い本作では、後半では一転して好人物に変貌してしまうのは惜しい。太田は本作のジャケットでは左側に大きな写真があり、第一幕のジャケットにも写真があるが、出演は第二幕のみ。
なお、本作の冒頭でスノーボード・ハーフパイプのオリンピック選手で女優の今井メロが登場し、浴室から第一幕のあらすじを紹介しており(この場面はジャケット裏にも掲載)、第三幕の冒頭でも同様の紹介をしている。今井は、小松の同僚のホステスの役だが、登場場面は少ない。
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