あなごちゃん

二十四の瞳 終戦60年特別ドラマのあなごちゃんのレビュー・感想・評価

3.4
「なにもできないけれど先生が一緒に泣いてあげる」
映画のポップに上記のような言葉が書いてあり、偽善的なポップだしそんなポップを書かせる映画もまた偽善的に違いないと思って素通りしてきたが、ついに手にとってみた。
作品は間延びしているし、偽善的なシーンも確かにあったが、、それを差し引いてもいい映画だった。大石先生が温かい。

戦前、貧しい子は家のお守りや出稼ぎのため途中で小学校に通えなくなる。貧しいのはその子のせいでもないし親のせいでもないし、誰のせいでもないのに小さな子は泣かなければならない。一教師である大石先生はそれをどうすることもできず、ただその子と一緒に泣く。可哀想可哀想と言って泣き、その子を見送る。親でない教師と子供との関係はひ弱で無力だ。だけど大石先生はその子のことを忘れない。戦争が始まり、様々な不幸が12の教え子に降りかかり、また自分も戦争でたくさんのものを失うが、終始子供達を気にかけ、歌をそっと歌う姿は、温かくてひっそりと泣いてしまう。
何度も見返すタイプの面白さはないが初回の感動は大きい