dita

ウォールデンのditaのレビュー・感想・評価

ウォールデン(1969年製作の映画)
4.0
@第七藝術劇場 ~ジョナス・メカス追悼上映~   

何もかも失われてしまった昨日とは打って変わって180分しっかり完走。映画を観て眠くなるのは自分の体調次第ということがよくわかった。あと音楽ね(♪華麗なる大円舞曲を中学の頃めちゃくちゃ練習した思い出が蘇ったりノイズミュージックみたいなのはずっと聴いていられるから楽しかったり)、ロストロストロストはあのロングトーンみたいなBGMにやられたに違いない(言い訳)。

というわたしの個人的事情はさておき。

冒頭に”リュミエールに捧ぐ”とあったので、気構えせずにそこに映っているものや生きている人を見つめていればいいんだと思っていたら、メカスが「私は目に映るものを礼賛するだけ。私はなにも模索しない」というようなことを語っていてなんだか少し救われた気がした。

生きているだけで意味があるなんて高尚なことは思えないし、わたしは何も遺せないまま歳を取り続けて、虚無感だけがどんどんふくらんで、そして「わたしの人生は何もなかった」と嘆きながらひとり寂しく死ぬんだろう。でも、もし叶うのならば、誰かの日記の1ページに記録され、それがいつか誰かの目に触れて、そういえばこんな人おったな…って思ってもらえれば、たとえそれが「通行人A」だったとしても少しは報われるのかなと思ったり。でも、出来れば猫と一緒に映りたいなぁ…あの猫たち可愛かったなぁ…。
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