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ほとりの朔子のodyssのレビュー・感想・評価

ほとりの朔子(2013年製作の映画)
3.5
【二階堂ふみ讃】

二階堂ふみは不思議な女優だ。特に美人というわけではないけれど、存在感が抜群。そこにいるだけで絵になる、という奴だね。この映画も、彼女がいるだけで自然に映画になってしまっているみたい。

筋書き的には、大学受験に失敗して浪人中という設定の彼女が、インドネシア研究者である叔母(鶴田真由)と一緒に海辺の町に住む別の伯母の家に(伯母は海外旅行で長期不在なので)しばらく滞在する間の一夏の出来事を描いている。

周辺にも一癖ある人物が何人もいるし、ヒロインの恋は成就しそうでせず、といって将来への見通しが定まってくるわけでもなく、何となく話は進むのだが、何となく面白い。

ただ、一番味がない人物は大学講師の男だろう。ちょっと類型的で、面白みがないし、その性格の薄っぺらさが作品制作者の薄さを暗示しているような気がして、ここを何とかすれば掛け値なしの佳作で80点だったんだけど、惜しいなあ。

あ、それから、福島から避難してきている男子高校生と、反原発集会のシーン、かなり良かったねえ。監督の力量を感じさせるシーンだったな。
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