ねぎおSTOPWAR

ほとりの朔子のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ほとりの朔子(2013年製作の映画)
3.8
深田晃司監督鑑賞はこれで3作目。
「海を駆ける」のコメント欄でこれを勧めていただき、ようやく鑑賞。
おススメポイントは湖と朔子(二階堂ふみ)のシーン。
探さなくてもわかりましたよ!作品中でも際立って素晴らしい撮影。ひょっとしたらカラコレの勝利かも。Filmarksのジャケ写にもなっているので垣間見えるかも。

朔子が叔母(鶴田真由)と花を探しに湖へ。そして青々とした木々が水面に反射しているんですが、真っ赤なワンピースの朔子がそーっと水に足を入れ、その波紋はゆるやかに水面の木々をゆらゆら不可思議模様に。いやあ<深田史上最高の画>というコメントはその通りだなと思いました。

《以下、よりストーリーに触れますので、情報を遮断したい方はご遠慮ください》



撮影は「淵に立つ」と同じ根岸憲一さん。「海を駆ける」は芦沢明子さん(「さようなら」も)。
「淵に立つ」のカメラ位置や画角に「?」がたくさん付いたので今回撮影に注目しましたが、上記シーンは極めて美しかったです。一連で花を見る鶴田さんと二階堂さんのショットも太陽光を使ってシルエットを綺麗に見せた秀逸な画。

しかしそれ以外は天候もあるかもしれませんが、道路のミラーを使ったショットや3分近いワンカットの会話シーンを除き特筆すべきところは・・。
「淵に立つ」と二作並べて思うのは、なんだか室内の撮影に「?」が付くのかも。



この作品はナント三大陸映画祭グランプリだそうで、深田監督を一躍有名にした映画ですが、残念ながら正直わたしには合いませんでした。
深田監督には4:3の画角の理由を聞きたいなあ。特に横に見たいものがあったわけもありませんし、演技を捉えることに集中していたのでそれもしかりですけどね。
それよりも中盤、亀田父娘(古舘寛治+杉野希妃)とみきえ(鶴田真由)らの食卓シーンはなんだったのか??ホン・サンス劇場でも始まったのかとビックリでした。雰囲気としては役や設定がありつつも役者さんたちの素に近い状態でのアドリブを絡めつつの撮影だったと推測します。朔子がいろいろうずまく大人の事情をほとりから眺めているということなのでしょうか?
そして朔子と亀田甥(太賀)とのストーリーもやや中途半端な印象。一夜を共に過ごすんですが、行動面、精神面でも何も起こらなかったという表現?もったいないですよね。
むしろ亀田甥(太賀)がホテルでの売春をに憤るあたり(買春の女子高生は公園でカツアゲされていた娘ですよね)が心の変化ですが、これもなんらか回収されることもなく・・。
観る者の想像に任せていただくにもちょっと情報が少ないのでは?

あと亀田娘の杉野希妃さんはこの作品のプロデューサー。今を時めく方ですね。