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アデル、ブルーは熱い色のatsushiのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.9
"食"と"性"は切っても切り離せない。パスタとカキは"男性"と"女性"のメタファーでしょうか。

開始1時間の閉塞感、行き詰まり感から一転、エマと出会っことでアデルは性を解放します。そのカタルシス。そして、ちょうど中間地点、約10分会話なしで語るシークエンスの雄弁さ。その後は、目まぐるしくSEXと食事が交互に映し出されます。

印象的だったのは、エマのはじめての展覧会での夜のシーン。終始、アデルの背後にはエマがいます。しかし、ある男性から映画の話を持ちかけられた瞬間にカメラは180度位置を変え、アデルの背後がスクリーンに映った映画になる。そう言えば彼女はアメリカ映画が好きだったことをここで思い出す。さらに、ここで皆んなに振る舞うミートソースパスタはアデルの父がいつも作ってくれる料理であり、男性・父性の象徴にも思えます。つまり、僅か数分のこのシークエンスだけで後に起こる物語の決定的な起承転結の"転"、アデルの犯す過ちを暗示しているのだから驚きです。

今作の原題は直訳すると『アデルの人生 チャプター1と2』。アデルの人生のチャプター1、2のその先は明るいものと信じて、後ろ姿を見送る幕引き。

2022/05\06 1回目
【2022年197本目】
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