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アデル、ブルーは熱い色のyumeayuのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.5
パルムドールは伊達じゃない!

女性同士のカップルが主人公ですが、描かれるのは誰もが経験するであろう出会いと別れについて。
フランス映画、パルムドール受賞作品ってことで、ちょっと小難しいかなと身構えちゃいましたが、そんなこともなかったですね。3時間の長編ですが、長さもあまり気になりませんでした。

特徴的なのは主人公アデルの姿を撮る手法。
まるで余計なものを排除するかのように、アデルにクローズアップしたショットが多用されます。
口いっぱいにパスタを頬張る食事シーンや寝顔もアップ。画面いっぱいに映し出される彼女の表情や揺れ動く感情の起伏に、観ている我々も知らず知らずに惹きつけられます。密着ドキュメンタリーみたい。

終盤の幼稚園でいつものように仕事をするアデルを延々と映すシーン。みんなが帰って誰もいなくなった教室で片付けを終えると突然、堰を切ったように泣くアデル。こういう気持ち、なんかわかる。
劇中、一見無駄に見えるシーンをこれでもかとじっくりと描いていた意味がよくわかりました。

ずっと気になってたのは、フランス人の自己主張の強さ。恋人だろうが友達だろうが、とことん意見をぶつけ合う。
"私はこう思うけど、あなたはどう思うの?" っていう感じの会話が多かった。
欧米諸国でも特に個人主義だといわれるフランスだけありますね。でもこれが普通なんでしょう。日本人みたいに"空気を読む"なんてことはしない。

だからなのか、アデルもエマもすごく感情が豊か。
寂しさから浮気をしてしまったアデルに怒りをぶつけるエマのキレっぷりなんて、もうね。
「この売春婦!出て行け!」ですから。怖えぇ…。
このシーンに限らず、どのシーンをとっても演者が全身全霊をかけて演じてるのがすごく伝わってくるんですよね。

ちなみに主演のアデル・エグザルコプロスとレア・セドゥ曰く、ケシシュ監督とは二度と仕事をしたくないそう。あぁ…なんかわかる気がする…。
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