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アデル、ブルーは熱い色のcyphのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.1
なんとなくでずっと食わず嫌いしてたけどとてもよかった特別な映画だった 顔のアップ、視線のゆらぎ、少ない台詞、魔法のかかった自然光、音読、デモパレードやクラブの熱い音楽と踊り、そして日々のルーチン 完全にすきな描きかたで大切な作品になるやつだとすぐ気づいた

性愛と文化が裏に貼り付いた幼年期、説明できない涙を流しながらひとり頬張るチョコバー、視線を釘づけにした運命の人がふと何の予兆もなく舞いこんでくるあの瞬間、違う家庭違う界隈違う世界線から覗き見られる居心地の悪さ 仕事をして、愛する人と同じベッドで寝て、それだけでわたしは幸福なのと語るアデルに嘘はないし、その強度だって正しくあの通りだと思う 異なるものを求め合うふたりがどう愛し合い続けるかというテーマはいつも歪で危うくて必ず誰かが火傷する それでも というお話

アデルの口元はずっと赤ちゃんみたいで可愛いし、エマはずっと魔法がかかってる ニヒルな笑みを浮かべるエマ 蕩けた視線をよこすエマ 友人たちと無邪気に抱き合うエマ 視界の端でいつも遠く光ってるエマ

作中折々登場する 愛に(あなむー?Un amore?かな)って乾杯の音頭よかった わたしも軽薄に誠実に愛を口にして乾杯したい
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