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アデル、ブルーは熱い色のSUIのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.0
高校生のアデル(アデル・エグザルホプロス)と美大生のエマ(レア・セドゥ)、多感な彼女たちが過ごす日常の中での激情が、過激な表現を用いて如実に描き出されている。
小動物のようにかわいらしいアデルと、ジェームス・ディーンを参考に役作りしたというエマのイケメンっぷりがなんとも魅力的だ。

何も起こらなそうで、本当に何も起こらない…。
そんなとりとめのない日常が割と、というか大分たっぷりと尺をとっている。

それが彼女たちの心情の移り変わりや、出会いから別れまでの時間の流れを感じさせる為に必要な要素だというのはわかる。
でも、作中に描き出されるそれぞれのエピソードについて、なぜそうなったのかの原因、あるいは過程がすっぽりと抜け落ちているように感じる。

例えば、アデルとエマがそれぞれの両親に会いに行った直後のシークエンスで突然2人での生活が始まっていた場面。
本来ここはアデルの家でエマと抱き合っているところを、アデルの両親に見つかって叩き出されるというシーンがあったという。
それをカットしてしまったので、原因(実家でのSEX)と結果(2人での生活がスタート)だけがあって、過程(親にレズビアンだとばれる)が明示されることなく唐突に2人の同棲生活にシフトしていくことになる。

状況はもちろん把握できる。でもいささか不親切ではないだろうか。

なんでもかんでもわかりやすいように情報を提示しろとはいわないが、せめて物語は連続させてくれないと整合性がとれない。
その長大でとりとめのない日常の描写を、ほんの少し削ればそういったシークエンスを挿入することはできるはずだ。

ところで、2人の女優が体当たりの芝居をしてるのに、顔のアップばかりフォーカスするカメラワークというのはいかがなものだろうか?(断じておっぱいが見たくていってるわけではない)
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