すずや

アデル、ブルーは熱い色のすずやのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.8
公開した時からこの映画をずっと観たかったけど、やっとレーティングを超える年齢になれたので観た。

観る前は、"恋とはなにか"みたいな、『君の名前で僕を呼んで』的なものを期待していた。実際あながちそれは外れてなかったけど、序盤、アデルがレズビアンだと周囲に罵られるパートがあるのがどうしてもショックだったし、女性同士という関係を隠さざるを得ないこともしっかり描いていたのが少し意外だった。私としてはそんなの観たくなかったし、辛かったけど、よりリアリティがあって良いと思った(おかげで中盤、アデルとエマの関係が良好なパートがあまり印象に残ってないんだけど)。

それよりもこの映画で優れていると思ったのが"別れ"について。片方が片方を許さず、憎んだことからの別れと、お互いに気持ちがあることが分かっていながらの別れでは辛さが段違いである。この映画では両方を描いていたけれど、特に後者の描写が最高に上手かった。相手に気持ちがあるのが分かっていながら恋人にはならない、その辛さが本当に上手く描写されていたと思う。

パートナーといえど、人生の"一部"しか共有していない、ということも痛感した。自分の知らない世界にパートナーを取られてしまう恐怖。ラスト20分が私はとても好きだ。
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