まず、この映画をLGBTQ映画とカテゴライズする必要性を全く感じない。
ある女性が、通りすがりに見つけた青い髪の女性に一目惚れした。それだけのこと。でもこんなにも美しい。普遍的なストーリーの、一つ一つの日常的な瞬間に温かい眼差しを向ける映画。
でも、愛とか性とかの不安定さをリアルに、シャープに描く部分もある。
それぞれの会話シーンが割と長くて、それによって3時間ほどの映画になってるのかと思う。
手持ちカメラを多用した撮影はよりリアルさに拍車をかける。一度起きたことはもう二度と元には戻せないという展開もそうだ。
2人がよく会う公園は、たまに木々の間から差し込む太陽光がもうめちゃめちゃ綺麗。
温かくて、でもそれでいて暑すぎず、にもかかわらず「ブルーは熱い色」。「ムーンライト」ほど青を追求した映像ではない。でも主人公が見せる細かな感情をひとときも逃さずカメラが捉えている点において、「ムーンライト」に迫るほどの説得力がある。
主人公たちを、全てを曝け出して見事に演じきった二人は、史上初めて、パルム・ドールを俳優として受賞した。
この映画はしばらく頭に残ると思うな。