晴れない空の降らない雨

陽なたのアオシグレの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

陽なたのアオシグレ(2013年製作の映画)
3.0
 新海誠の初期作品における台詞の気持ち悪さほどではないにせよ、とにかくドラマの人工的なピュアさが耐えがたい。本当の意味での「直球」というのは、もはや時代的に不可能だと思う。単にコテコテだから悪いというのでなく、その背後に「あえてやっているんですよ」というエクスキューズを嗅ぎとってしまうのは、単に私の性格が悪いからでしょうか。泣き顔ドアップ、とりあえず走る、その走りの見せ方、安直すぎる。ローアングル斜め後ろからの構図で、カーブして走り去るのを見送るショットとか、なんかもうアニメ観るたびに見ている気がする。
 
 追跡のアニメーションは単純に枚数ちゃんと使っているし、とくに飛翔はジブリのミームをめちゃくちゃ感じた。たなびく髪や服はもちろん、顔の肉が風に引っ張られてブサイクになると必死さが出てよい。序盤のストーリーに組み込んでまで鳥を使うのもまた、アニメーションに羽ばたきの追加と毛のなびきの増量があって、いっそう魅力的になっていると思う。カメラワークもそれなりに工夫を凝らしていると思う。ただ、空想世界の造形(というか全般的)にもう少しオリジナリティあると、なお良かった。
 
 なんでこれを観たかというと、今日、本作の監督の初長編の試写会に行く予定があったから。なんだが、すさまじい頭痛に襲われてあえなく断念……