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嗤う分身のdeenityのレビュー・感想・評価

嗤う分身(2013年製作の映画)
3.3
ドストエフスキーの『分身』が原作のようで。未読ではあるが、興味が湧いた。

元々ミア・ワシコウスカが好きで割と評判も高く、何より「なぜ嗤うという字なのだ」という疑問から、やたら気になっていた作品。ちょうど近い時期に『複製された男』もやっていたような気もするが、曖昧。ドッペルゲンガーブームなのだろうか。

この手の作品は不思議な魅力に溢れたものが多い印象だが、本作の世界観の魅力はちょっと図抜けていた。暗くレトロな世界観、設定、パッとしない主人公、突然飛び込む日本の昭和歌謡曲、その他諸々の意味深そうなカットやシーン等々…、いろいろが謎過ぎて、意味がありそうでなさそうで、喜劇のように思えていると悲劇のように思えるという、久しぶりにグッと引き込まれる世界観を味わえた。
さらにその魅力を引き立たせるのがジェシー・アイゼンバーグ。草食的でどこか気になってしまう絶妙な演技。結構役柄も広い人だが、個人的にはこうゆう演技がハマっている気がする。

結局自我というものに疑問を抱き、ただその自分の理想像には否定的になる。この辺の構図は喜劇と悲劇の絶妙なライン。最終的に独自性のある自分であることを求めちゃう辺りは普遍的でもあり、しかしそれは大衆に対してではなく一個人としての考えでもあったりする。
結局彼のやってることは理想の自分との対決であるわけだから、ラストシーンは肯定的に解釈しておこう。