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馬々と人間たちのmazdaのレビュー・感想・評価

馬々と人間たち(2013年製作の映画)
3.4
馬を愛し共に暮らすある村の馬と人間たちを描いたアイスランド映画。
シュールシュールと聞いてかまえていたせいか思っていたほどではなかった印象、ホドロフスキーとかのまったくもって理解できない(嫌いじゃないけど)映画に比べたらわかりやすい人間の皮肉が描かれていて短くて観やすかった。
船にある酒を求めて、馬に乗って海を渡る男はその酒に潰されるし、わざわざ張ってある有刺鉄線を壊して馬を連れ出す男は有刺鉄線で顔を怪我するし。映画初っ端から馬の交尾のシーンがあるけど、最後にはその飼い主達が"人間の交尾"という言い方がぴったりな結末が待っていて、なんていうかね、すごくみすぼらしいというか醜いというか哀れというか・・・。そんな人間たちを見つめる馬の冷めた目線。。
犬を「飼う」とかペットとか、そういう人間が上にいるような言い方が好きじゃないけど、ここではどっちが上なのか正直わからない。人間が馬の下にいるように見える。
人間は他の動物よりも優れた能力があることから、動物という枠組みではなく人間という枠の中で生きてる。でもこうやって馬と人間を比較した時、同じ生き物としてあらゆることが共通している。結局人のできるとされることは人間の特性でしかないのかもしれない。チーターが人間よりずっと速く走れるのも、犬が人間より鼻が効くのも、それはその動物の特性だし、私たちが物を使ったり考えて行動することが他の生き物より優れているということだけで人間が優位になるのはもしかしたら可笑しな話なのかもしれない。
最後のたくさんの馬が集められた選考会?的なお祭りでは人々の中にいる馬 というよりも、馬馬の中にいる人 という風に見えた、私たちが良い馬を選ぶのと同じで馬も良い人間を選んでいる、全てのシーンで馬の目がすごく印象的で彼等は日々馬に見定められていたのじゃないかと思う。
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