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インセプションのHKのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.8
クリストファー・ノーラン監督作品。

夢に潜入するというようなストーリーは自分が見た夢枕獏さんのサイコダイバーとか今敏さんのパプリカなども同じテーマだが、夢という精神世界である以上、実写でやることが困難とも思われた。

これを見事に映像化したノーランさんは凄いと実感した作品である。特に夢の構造化、そしてそれぞれで時間の体感からのずれを映像化する際に利用し、夢の主が死ぬと世界が崩壊するという様子をあそこまで忠実に描いたのは凄い。CGをあまり使わない主義のためか映像にリアリティーが加わってすごかった。

特に構造ごとに時間軸を変えての映像の切り替えとハンス・ジマーさんによる音楽と効果音から生まれる緊張感はこの映画独特の臨場感を作り出す。後半の盛り上がり、そして伏線の回収もまた見事としか言いようがない。最後にこの世界が現実か夢かという判断をトーテムのコマで表現するというのも素晴らしいと思った。

ただ、ノーラン監督作品で一つ言いたいことがあるのは、アクションの撮り方があまりうまくないということだ。第2階層におけるアーサーの戦闘シーンも無重力描写が素晴らしいためあまり目立たないが、やはりアクションがこじんまりしちゃうというか、そこを直せれば結構好きなんだけどな~。

でもいずれにせよとても面白かった。思えばダンケルクにも、この映画のような「異なる時間軸での描写」というものを取り入れいたのだとすると、これもまたノーラン監督の特色だというのを見て知ることができた気がする。もっと他の作品も見てみたいと思った。
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