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インセプションのYYamadaのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.2
【監督クリストファー・ノーラン】
第7回監督作品

〈見処〉
①誰も見たことがない驚愕の映像
・『ダークナイト』と『ダークナイトライジング』の間に製作されたノーラン監督第7作目。
・『インセプション』は、他人の夢に侵入して[情報を植えつけること]を差す。
・本作は『インソムニア』撮影後、ノーラン監督の「夢泥棒」アイデアに製作が決定したものの、『ダークナイト・トリロジー』との並行作業のため脚本化に8年を要した、渾身の作品。
・コンセプトは「夢の世界の映像化」。現実と虚無の境は曖昧であり、重力を無視した戦闘、大きくうねる市街地など、誰も見たことがない映像に圧倒される。『マトリックス』のバーチャル世界にリアリティーを高めたような映像を見るだけでも鑑賞の意義がある。
・また、本作は多くのロケ地が登場。うち東京のシーンでは六本木や東海道新幹線が登場する。
・第83回アカデミー賞では作品賞、脚本賞など8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、録音賞の4部門を受賞。興行面、批評面のいずれも高い評価を受けた。

②「夢」の多層構造についていけるか?
・ノーラン監督の描く夢の世界は「多層構造」。深い階層に移動するためには、夢の中にて睡眠し夢を見なければならない。
・ターゲットの夢に潜入し「情報を抜き取り」「情報を植えつけ」を行うためには、ターゲットの警戒心を解かなければならず、そのために、潜入チームメンバー毎に役割を担う…
・非常に難解な内容であり、鑑賞者が迷子にならないように作中の多くの時間を説明に充てているが、それでも複雑怪奇なストーリーである。
・しかしながら、観賞後にもっと「理解したい」と衝動に駈られるのは良作の証だろう。ネット解説を確認したくなる欲求は、最新作『テネット』よりも高く感じる。

③ノーランらしさの演出
・時系列を並行的に描写するノーラン監督の過去作品に対し、本作は他階層の夢の世界を並行して描いている。
・また、ネット解説を見ると、夢の構造に対する設計は非常に具体的であり、ノーラン監督特有の拘りが感じられる。
・本作は、娯楽作品ではあるが、弛い気持ちでは見きれない。
・この映画でダークナイトシリーズ以外のノーラン監督の評価が確立されたと思う。
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