はなちゃん

インセプションのはなちゃんのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
5.0
映画って非現実を創り出すものだけど、クリストファー・ノーラン監督は映画の中に見事に現実を創り上げた。今我々が居る現実社会も自分が死ねば崩壊して消えてしまう。要はこの世界が現実か非現実かなんて本当のところはわからないということなのだろう。シュレーディンガーの猫ではないが、蓋を開けてみないと判らないのだな。デジャブを観た瞬間、我々はこれが真実か夢か区別がつかなくなる。長くは続かないけどあれが非現実と現実の狭間にいるという瞬間なのだ。映画では深層心理の第三層までチームで降りてゆきミッションをクリアする。コブとアリアドネはもっと深く落ちて行く。モルと出会ったコブはどうやって脱出出来たのか、歳とったサイトウはコブと共に跳んだのか、そこは描かれてはいないが観客の想像力に期待している。よく考えてみると、この映画で描かれている主題をもっと深く掘り下げると神の存在証明に行き着く。こうして現実を感じている自分が居るから、神が創り出したこの世界を認識する事が出来る。自分の存在が神の存在とリンクしているのがこの世界。コギト・エルゴスム、我思う、故に我ありだ。とにかく、映像も含め凄い映画だった。