レンタルショップ店長M

アクト・オブ・キリングのレンタルショップ店長Mのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
4.2
『現代社会は巨大な暴力の上に成り立っている』

これは本作の監督、ジョシュア・オッペンハイマーの言葉だ。

そして今日現在この言葉を否定できる者はいないだろう。



実際にインドネシアで起きた大量虐殺事件を扱ったドキュメンタリー映画。

通常この手の映画は、被害者がその悲惨さを語る事で、起きてしまった悲劇を浮き彫りにしていくものだが、驚くべき事に本作では加害者へのインタビューを中心に構成されている。

何とこの事件の加害者達は、国ではテロリストとしてではなく、自らの掲げる『 正義 』のもと虐殺を行なった、英雄(!)として扱われているのだ。

「あなたが行った虐殺をカメラの前で再現してくれませんか?」

自分達は英雄。提案された加害者達は皆ノリノリで、殺し方・殺した数 等を語り、スター気取りで演じだす。監督の乗せ方も上手いとはいえ、罪の意識など微塵も感じさせない加害者達に、恐ろしさを通り越して笑いすら込み上げてくる。

この加害者達と被害者達は、暴力により撒かれた思想のもと、今も同じ地域に暮らしているという。

すべてが狂っている。


正直 日本に暮らしていると、世界で繰り広げられる狂気や暴力や殺戮はピンとこない所がある。斉藤和義に歌わせれば「僕はマシンガンを撃った事などなぁい」だ。まったくである。私の様な平和な人間はこういった映画で世界を知るしかない。


観る者にかなりの勇気を要求する映画ではあるが、今・・・とても観直したい気分だ。