サノきのこ

アクト・オブ・キリングのサノきのこのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
4.3
人を殺めた自分を演じる。

これはキツイ作品ですね。。。
過去、暴力が正義とされた時代に権力と暴力を振るった自分。英雄的な表現として映画にすると言われて、過去の自分を嬉々として演じていくも…

という、なんとも心に刺さる作品でした。
実際の血が飛んだりといった残虐描写はありませんが、これを正義とされる時代と場所があったという悲しみと、それから50年以上経っても暴力を振るった自分達を英雄だと信じて疑わない人々。

歴史的に価値のある作品であると理解しながらも、映される内容があまりにもキツイ。

演技にも徐々に熱がこもる彼らと、それを近くで笑いながら見る家族。なんて怖い光景なのか。

悪いことは何もしていない、神に許されている、天国へ行ける…彼らのこの価値観が揺らいだ時どうなるのか。観終わった後、やや放心でした。

ドキュメンタリーといえど、あくまで作品として作られた一側面でしかありませんが、こういう世界もまだあるという恐怖はノンフィクションならでは。
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