Yoshimasa

サッドティーのYoshimasaのレビュー・感想・評価

サッドティー(2013年製作の映画)
3.7
悲しいお茶。タイトルにもなっている象徴的なシーンが語るのは、男と女の埋めることのできない意識の溝。

あらすじを全部書くと長く、そしてネタバレも含まれるので省きますが、二股、片思い、一目惚れ、DV彼氏、アイドルへの恋などを通して「好き」は何かという問いを群像劇として我々に投げかける。

理由はいろいろあれど、「好き」を人は止められない。時には理由すら無意味に思えるほど、その感情はすべてを超える。でも、他人の振り見て~じゃないけど、知人や友人の一風変わった恋愛模様を見ていると、一瞬立ち止まることがある。「うちは大丈夫だよね?」「あれ、私っておかしいのかな?」とか。

愛さえあれば関係ないと思っていた。でもそうじゃなかった。冷静になってみれば普通じゃないんだ。『恋は盲目』とはよく言ったもの。見えてないし、見ようともしない。でもそれが決して悪いわけじゃない。一回全部吐き出して、一回ちゃんと考えてみようよ。そんな思いのこもった作品。

男と女では「好き」の考え方が本能的に違うんだと思う。人間一人ひとりでも違うのに、性別が違うならなおさらだ。でもそんな男と女が愛し合って、結婚して、子どもができて、孫ができてって続いていくんだから不思議。本能を超えた奇跡。でも死ぬまで埋まらない意識の溝。そこを妥協したり、気遣ったり、バランスを取ったりすることが「愛する」ということであり、その練習が「好き」ということなのだろうか。考えすぎか…。

今泉監督の作品は、一癖もふた癖もある登場人物が多い。癖だらけ。でも見た目は普通。こんな奴だけど、君らの周りにもこんなおかしな奴らいっぱいいるんだぜって言われているよう。彼女とか好きな人とかがいる時に見ると、また違った見方ができたのかな。

古着屋の店員の子、かわいい。
Yoshimasa

Yoshimasa