しどけ梨太郎

サッドティーのしどけ梨太郎のレビュー・感想・評価

サッドティー(2013年製作の映画)
5.0
「ちゃんと好き」ってなんだろう。を延々とやる映画。

二股映画監督が「ちゃんと好き」を考えた結果、二股を解消しようとすることからも、「ちゃんと好き」というのは一対一で(恋愛)関係を構築し完結させることだと一般的に思われているという前提が見える。しかし、一対一で完結しないといけない関係がこの映画内では相互に絡み合い出し、結果として一対一に収まらない複雑な関係を鑑賞者に提示してくる。これは、一対一で完結する関係とかいう幻想をぶち壊す仕組みである気がする。一般的な「ちゃんと好き」をやろうとする人々が、つまり「ちゃんと好き」をじっくり考えたことがない人々が失敗していく様を見せつけることで、鑑賞者に「ちゃんと好き」を考える契機を与えている。

ほとんど会話で進んでいくが、沈黙の間が毎回気持ちいい。絶妙なスピードで会話が進み、物語が進む。オフビートなギャグも良い。
全部の音が消えたり、急に曲が始まったりするのもタイミングが良い。トリプルファイヤーの曲が上手くハマる映画というのもなかなかないのでは。