この作品で知ったこと。イスラエルの人口の20%は実はアラブ人で、彼らには移動の自由が認められておらず、アラブ語も禁止されて酷い抑圧を受けて暮らしている。イスラエル建国時に排除されて出て行ったアラブ人(パレスチナ人)からも、イスラエル内に残っているアラブ人を白い目で見る風潮がある…。
本作は、イスラエル国内で虐げられているアラブ人の若者が始めたヒップホップ・ムーブメントのドキュメンタリー。彼らの置かれた状況では、歌詞はどうしたって政治的になる。熱い熱いメッセージ。ヒップホップの魂の叫びが共感をよび、大人も含めて人々の誇りと自信をとりもどし、パレスチナやガザのアラブ人たちとの繋がりを強めた…。
何かを変えるのは暴力ではなく芸術
*****
ヨーロッパで長い間差別されてきたユダヤ人の歴史
イスラエル建国時にイギリスのやった酷い2枚舌外交
その後絶え間なく続くアラブとイスラエルとの戦争の歴史
*****
この作品の素晴らしさを否定するつもりは全くありませんが、この作品から、いつか争いが終わるだろうという気配は、残念だけど感じられません。第3者の立場から見れば、これはアラブ人の立場の作品です。そういう作品ではイスラエルは酷く描かれる。でも彼らの活動を許しているイスラエルの寛容さもあるわけで…。
お互いを理解しあうということを子供達に植え付けること。それをお互いが続けていって、その子供たちが大人になった頃にやっと、一歩前に進めるのだと思う。そのためには、今の大人たちがまず変わらなければならない。それができないから争いが続く…。