イチロヲ

ホドロフスキーのDUNEのイチロヲのレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
4.0
70年代初期、SF小説「デューン 砂の惑星」の映画化が、ホドロフスキー監督により企画進行するのだが、クランクイン直前で製作中止に陥ってしまう。幻となった超大作の顛末を主軸にしながら、監督の映画論を説いている、ドキュメンタリー作品。

「映画の魅力は、ドラッグをやらなくても、それと同等の高揚感を得られるところにある」という発言の時点で、ホドロフスキーは純然たる芸術家であることが理解できる。この監督は、自分の信念を貫いた作品を、損得勘定なしに作りたいだけの人間。

本作の面白さは、監督の巧みな節回しから、人を惹き付ける力がビンビンに発せられているところにある。例えば、「原作の映画化には、大きな愛をもって原作を犯さないとならない」という言葉。いわば、ポジティブ志向の「原作レイプ」。

ドキュメンタリーとしても分かりやすい構成になっており、有名・無名に関係なく「才能をもつ人間」をスタッフに招聘していく過程と、主観(小説)から客観(映画)へのコンバートがおこなわれていく行程に、興味が掻き立てられる。
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