せーや

ホドロフスキーのDUNEのせーやのレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
4.1
観客は映画に襲われたくて3Dを見る。
将来、観客は映画を目ではなく
ケツの穴でみることになるだろう。
なぜって?映画に犯されたいからさ!

1975年。
スター・ウォーズが公開される以前
映画史を塗り替える壮大なSF映画が
公開されるはずだった。
その映画の名は「DUNE」

撮影に入る直前で製作が中止されてしまった
ホドロフスキーの幻の作品「DUNE」を
製作陣のインタビューを中心に紐解いていく
ドキュメンタリー映画。

「ホドロフスキーにとって映画とは何か?」
「この映画がSF映画史にどれ程の影響を与えたか」

といったものが映画のテーマ。

まず言いたいのは
この映画は特典も必ず見なければならないということ。
本編+特典で計2時間超えという
ドキュメンタリーとしては少々長めではあるけど
特典も本編の一部として見るべき。

1968年「2001年 宇宙の旅」
1977年「スター・ウォーズ」
1979年「エイリアン」
1984年「ターミネーター」

SF映画史の金字塔とも言える
この4作品ですが、そのうち3作は
DUNEの影響を受けたと言います。

公開されていないのに、なぜ?
それは本編でご確認ください。

DUNEがなければ
今のSF映画は無かったかもしれない。
DUNEが公開されていれば
今のSF映画は全く違うものになっていたかもしれない。

と、口々に製作陣が語ります。
しかし、本当にそれほどの大作なのか?
確かにホドロフスキーはすごい。
彼の作品を見るようになって、それは納得できる。
でもいくらホドロフスキーでも
そこまで影響は与えられないだろう。
はじめはそう思っていました。

しかし脚本や絵コンテ
製作陣や彼らのその後の活躍を見ると
あながち間違いではないと思えてくる。

いったいどんな映画になっていたんだろう。

製作が中止された理由は
ホドロフスキーが最も嫌悪する存在、
「映画産業」という世界が原因だった。

金のために映画を作るという
本来の意味を失った「映画」について
ホドロフスキーは自らの信念と共に語る。
それは綺麗事かもしれない。
絶対に無理に決まっている。
でも彼の信念は、映画制作者としてあるべき姿だった。

驚いたのはホドロフスキーの若々しさ。
御年84歳にもかかわらず、あの口調。
まさに喜怒哀楽を体現したような方。
大丈夫だ。彼なら300歳まで生きられる(笑)。

すべてのホドロフスキー信者に
すべての映画ファンに贈る
壮大なホドロフスキーの頭の中を覗いたドキュメンタリー。

「映画を語る映画」です。
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