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ホドロフスキーのDUNEのkekqのレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
4.9
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の「DUNE」がなぜできなかったのかというドキュメンタリー。

例えば「どんな映画を撮ってもいい、予算もキャストもスタッフも技術も何の制約もない、とにかく誰も見たことがない最高の映画を作ってほしい」と言われたら、どんな映画を思い浮かべるだろう?
本当の大風呂敷を広げることは容易いことではなく、誰もが人生の制約の中で、たとえ空想でも真の意味で想像力を解放することはできなくなっている。

監督は想像力のリミッターがガタガタになっており、現実の制約の中で常人の理解を超えすぎたイマジネーションを無限に膨張させる。社会の要請や個人の嗜好は眼中になく、もっともっと上からの指令により「魂の戦士たち」を集結させる使命に強迫的に取り組むエネルギーはもはやむちゃくちゃ。当時の現場で付き合わされた人たちのストレスはどれほどだっただろうか。

インタビューを受ける監督の眼光のトビ具合は相当なものだが、理知的で情熱的で人間的で、おじいさんなのに小学生のような魅力に溢れており、狂人としてのクラスの違いを見せつけられる。デヴィッド・リンチの映画がコケた時のリアクションは最高で、フォローもちゃんと紳士的。

結果的に未完であったことが後のクリエイターの想像のフレームを拡張し、多くの名作のルーツとなったあまりに稀少な価値を持った映画。
「つくる」とはどういうことか、自分が何もわかっていなかったことに気づかされる。わかるわけではない。
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