「失敗してもかまわない。それもひとつの選択なんだ。」
製作途上で潰えた幻の映画を追ったドキュメンタリー……なのだけれど、凡百の劇映画より、エンパワーメントしてくれる。
暗鬱とした日常が続く中、このタイミングで観るには最高の作品だった。
劇中のデビッドキャラダインの挿話の如く、心のヴァイタミンを過剰に補給した気分。
基本、監督ホドロフスキーを中心とした関係者各位のインタビューを中心としてたオーソドックスなつくり。
しかし、ホドロフスキーの私室で直接話を聴いてる様に錯覚してくるほど、朗らかに情熱的に語りかけてくるホドロフスキーの人間的魅力と、貴重で刺激的な製作資料の数々でワクワクドキドキする。
七人の侍よろしく、ホドロフスキーがスタッフキャスト(ホド爺曰く「戦士たち」)を集めるくだりの愉しさよ。
メビウス、オバノン、クリスフォス、HRギーガー、ピンクフロイド、ミックジャガー、そしてサルヴァドール・ダリ!!
虚実多分に入り混じった語り。
ホラ吹き爺さんか?稀代の魔術師か?
不思議と胡散臭さより、途轍もなく魅力的なお伽話や神話を聴いてる気持ちになっていく。
そして劇中語られる通り、ホドロフスキー達が蒔いた種から、その後、豊かな「果実」が映画史の中で実っていったことは疑いは無い。
失敗や喪失を描きながらも、それでも創造の魅力と希望を強烈に訴えてくる。
素晴らしい!!