ホドロフスキーのDUNEの作品情報・感想・評価

「ホドロフスキーのDUNE」に投稿された感想・評価

Kuuta

Kuutaの感想・評価

3.8
ホドロフスキーという存在が面白過ぎて、大いに笑った。良いドキュメンタリー。

凄まじい精鋭スタッフとキャストを集めながら製作中止となった幻のSF大作「DUNE」について、ホドロフスキーや色んな関係者のインタビューを交えてまとめている。

プレゼン資料として当時複数の映画会社に渡したという分厚い企画書が映画内に出てくる(それを読んだニコラス・ウェンディング・レフンが「俺はDUNEを見た唯一の観客だ」とドヤ顔で出演している)。

映画は作られなかったものの、その企画書がスターウォーズ含め数多のSF作品に影響を与えたことや、DUNEのためにホドロフスキーが集めたスタッフが後のSF映画の中心になっていくことが分かる。出てくる名前がどれもレジェンドすぎる。

インタビューや数々のエピソードを見るに、ホドロフスキーの人柄の良さや、作品への純粋で狂気じみた熱意が伝わってくる。人を惹きつける力があるとスタッフの1人が語っていたが、本当にその通りだと思ったし、だからこそこれだけのメンバーが集められたのだろう。

ただ、映画会社がデヴィッド・リンチに企画を移してしまったのは、ホドロフスキーの作風に原因の一端はあるわけで、この企画が用意できたのも、潰れてしまったのも彼の責任なんだろうなと思った。

ざっくり三部構成。
最初はホドロフスキーが何者なのか、「エルトポ」や「ホーリーマウンテン」の説明を入れつつ概略する。映画文法を何にも知らないで撮ったデビュー作。「上映したらメキシコで暴動が起きた」といきなり面白すぎる。

「世界中の人の意識を変えるために映画を作っている」「預言書を作りたい」「LSDをやらずにLSDのような体験を」と語るカルト映画の巨匠。エルトポの成功で資金を得て「思い通りにやった」のがホーリーマウンテンだったらしい。

続いてDUNEのメンバー集め。ドキュメンタリーとしてはここが一番面白い。

オープニングは広い宇宙から砂の惑星DUNEに降りていく長回しで始める予定だった。オーソン・ウェルズの「黒い罠」を超えるつもりだったのに!と息巻くホドロフスキーが可愛い。

2001年宇宙の旅のダグラス・トランブルを特殊効果で起用しようかと思ったが、横柄な態度に「技術はすごいが精神的にダメだ。預言者にふさわしくない」。代わりに依頼したのがジョン・カーペンターの「ダークスター」で脚本や特殊効果をやっていたダン・オバノン。マリファナでフラフラにして勧誘。

海や魚をイメージしたクリス・フォスの宇宙船スケッチも何点か登場する。スターウォーズ的デザインに慣れた自分からすると非常に新鮮で、「公開されていたらこんな宇宙が当たり前になっていたのかも」というロマンを感じた。

音楽にピンクフロイドを起用した話も笑った。スタジオに会いに行ったのに、愛想なく昼飯を食べ続けるメンバーにホドロフスキーがキレる。「その態度はなんだ!ビックマックなんか食いやがって!」。最高。

主人公のポールにはエルトポ同様に実の息子を起用。映画づくりは神聖な行為であって、代償が必要だから実の息子も使う。さらっととんでもないことを言っている。銀河帝国の皇帝役には、苦労の末に画家のダリの出演を取り付ける。ダリから見せられたイラスト集をきっかけにギーガーをスカウトし、悪役のデザインをやってもらう。太った悪役にはオーソンウェルズ。

第3部。製作中止とその後。
「企画は完璧だが、監督が問題だ」と映画会社は買わなかった。実際問題、ホドロフスキーのスタイルでは予算や時間とバランスを取った製作は無理だっただろうし(本人は「12時間、いや20時間の映画にしたい」)、当時のアメリカでは作りようもない、というのは事実だったのかも。

企画をリンチに持っていかれた後、失意の中ふらふらになりながらも劇場に足を運ぶと「あまりのひどさに段々元気になった」「人間として当然の反応だ」。非常に素直で好感が持てる。

DUNEが無ければエイリアンは生まれず、ブレードランナーにも繋がらなかった。凄まじいプレッシャーの中でブレードランナーの続編を完成させたヴィルヌーヴは今、二部作構成でDUNEのリブートに取り掛かっている。輪が一周した感じがある。今作で出てきた色んなイメージも、新作に使われているのだろう。75点。
兎に角一回で良いからホドロフスキーに国家予算位の金を渡して好きにやってもらいたい‼︎
これ20時間あっても観たすぎるでしょ〜‼︎
絵コンテメビウスとか関わってる人達がマジで戦士過ぎるわ
これを観ることによってその片鱗に触れる事が出来るけどそれがもう凄いから
観るLSDを作るって意気込み最高っすね^ ^
shitogi

shitogiの感想・評価

5.0
商業作品のドキュメンタリーとは思えない。まるで自主制作映画のドキュメンタリーだ。
あの高畑勲の「かぐや姫の物語」のドキュメンタリーにおいてでさえ、ここまで超現実的な要求はなかった。「二十時間の映画にしたい」なんてことだ。
映画の最後でこう語られる。「芸術的な映画が作りたいなら作ってみればいい。」この単純な言葉を最大限に響かせるためにこの映画は作られたのではないか。この映画は芸術そのものではないが、明らかにそれに通じるものである。
注・特典映像も必ず見ること!
Yuki

Yukiの感想・評価

4.0
心打たれるとはまさにこのこと!
よく分からんけど魅入るカルト映画、くらいにしか思ってなかったけど監督のイキイキした瞳に惹きこまれてファンになりました。

『私が死んでも、映画はつくれる。』

今年一番の映画になりそう。
rage30

rage30の感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

アレハンドロ・ホドロフスキー監督による、未完の大作『DUNE』。
その制作過程を追ったドキュメンタリー。

メビウスやギーガーなど、才能のある若手クリエイターや、ダリやミック・ジャガーなど、大物アーティストを役者として起用したりと、ホドロフスキーによる型破りなリクルート話が面白かったです。
この制作過程を映画化しても、十分楽しい作品になりそうですね。笑

これだけの豪華布陣を揃えておきながら、なぜ制作出来なかったのか?と思いますが、ホドロフスキーによると『DUNE』は12時間を越える上映時間を想定してたのだとか…。
そりゃ、映画会社も、お金を出すの渋りますよ。

流石にここまで来ると、呆れるというか…。
でも、同時に、ここまで自分の作家性を貫く事には感心してしまう部分もあって。
「あぁ、この人は本物のキチガイなんだな」と、心から思いました。
リンチ版の『DUNE』の失敗を、心から喜んでしまう無邪気な一面を見てると、ホドロフスキーに多くのクリエーターやアーティストが魅了された理由も分かりますね。

ホドロフスキーの『DUNE』は極端な例だとは思いますが、どんな映画監督も時間やお金など、様々なものを代償にして、映画制作に臨んでいるわけで。
ある種の狂気がなければ、映画など作れないのかもしれません。

さて、問題の『DUNE』ですが、今度はドゥニ・ヴィルヌーヴがリメイクするとの事。
こちらもどうなるのか、楽しみです。
田島

田島の感想・評価

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メビウス、ギーガー、ダリ、ピンク・フロイドなんかをスタッフに最高のSF映画を作ろうとしたホドロフスキー…

ダリの出演料は1分で10万ドルなのか…

面白かった!
nnm

nnmの感想・評価

4.0
ホドロフスキー監督がとにかくチャーミング。80歳超えても創作をし続けるぞ!って言ってるのを見て、元気が出た。

もし『DUNE』がそのままの形で完成していたらSFの最高傑作になっていたかも、と思うと本当に観てみたい。

絵コンテの見せ方、アニメーション表現など勉強になる部分もあって、楽しいドキュメンタリーだった。
ホドロフスキーのこともDUNEのことも知らなかったんだけど一気に惚れ込んでしまう傑作ドキュメンタリー

ビックマック食ってる場合じゃねぇ!ってピンクフロイドにブチ切れたり、引き込みたいクリエイターをマリファナでフラフラにさせて誘ったり、デヴィッドリンチのDUNE劇場に観に行ってヒドすぎて元気になってきたって言ったり原作を犯したんだとか、もう発言すべてがブッ飛んでいて最高ですね

こんなに生きてるのが楽しそうなのは情熱を絶えず持ち続けているからなんだろうなぁと、言葉にならない大切なものを教えてくれた気がした
Masami

Masamiの感想・評価

3.5
ホドロフスキーがスターウォーズ以前に企画していた未完成のSF大作『DUNE』について当時の事を振り返りながら語るドキュメンタリー。

ビックネームが出るわ出るわ。オーソン・ウェルズ、ピンクフロイド、ミック・ジャガーにダリ!ダリってもう歴史上の人物だよね。

過去を語るホドロフスキーが本当に楽しそう。もう目がキラッキラッしてる。でもある一瞬の表情に陰がある。自我を忘れて没頭した作品でありながら、未完成の痛みがある。

レフン監督あたりが意志を継いで作品化してほしい。
DUNE
という作品にまつわる
一つのドキュメンタリー

調べると2020年に上映されるよう
以前上映された分も見てみたい
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