拷問かよ、と思わず言いたくなるほど晒される白人女性の醜い裸体に『劇場版テレクラ・キャノンボール』を思い出す。ワニの餌付けに「ひぇっ」などと小さい喚声を上げるババア共だが、こちらに言わせればあんたらのほうがよっぽどグロテスクである。何が、皺と脂肪の下の真の自分を心の目で見つめて欲しいだ、気持ちの悪い。でも実際、世の中そんなもんで溢れかえってる訳だから余計恐ろしい。パラダイスとはよく言ったものだ。
人間の行動理念は全てが需要と供給、何事にも対価が発生するのは当たり前。ボランティアだって、結局履歴書に書いてしまった時点でそれはもう立派な労働だ。この映画でも、ひと時の愛の対価として金銭を要求しているだけであって、黒人青年たちを罵倒する権利など、デブのババア共には一切無いのである。ハネケといい、オーストリア人のこの「愛」に対する冷徹な眼差しは全くもって、「ですよね〜」と相槌を入れたくなるような感じである。これは国民性なのか?どこから来るんだろうか。
人にはなかなか薦めにくい作品だが、この映画好きな人とは大いに語り合いたい気分だ。