Shelby

トム・アット・ザ・ファームのShelbyのレビュー・感想・評価

4.2
若き才能を感じられた1本。
監督兼主演を演じたグザヴィエ・ドラン。イケメンなのに、どこか色っぽい。濡れた金髪が額に張り付くカット。それだけで何故か色気を感じる。直接的な表現はないものの、序盤から薄々感じていたがやはり同性愛者だったということが後々分かる。
そして、死んだ恋人の家族に全く自分の存在が知らされていないことも。

出てくる皆に共通しているのは、どこか狂気じみたものを感じられるという点。兄も、母親も、トムも普通とは少し違う。
閉塞的な村だからこその息苦しさや、ジレンマ。兄からはそんな声にならない声が聞こえてくるようだった。タンゴを踊るシーンで堪らず心のうちを吐き出すフランシス。母が次の日突然死んでいたらどんなに楽か。どのみち施設にいれるんだから。こんな会話を全て聞いてしまった母親の心境は考えたくもなかった。

フランシスの制止を振り切り、車を奪って逃走したトム。車中から見える都会ならではの街明かり。ホッとするはずなのに、どこか切なげのような寂しげなような瞳。
彼の今後を知りたいような知りたくないような。不思議な魅力の詰まった作品。
映像特典の監督インタビューは是非見るべき。
Shelby

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