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罪の手ざわりのodyssのレビュー・感想・評価

罪の手ざわり(2013年製作の映画)
2.0
【さほどの出来ではない】

この映画のどこがいいのか、私には分かりませんでした。

最近の中国の実態を描いているからいいのだ、という考え方もあるかも知れません。しかし、この映画で描かれている犯罪行為、もしくは社会のゆがみは、ひとつひとつ見てみれば目新しいものではありません。むしろありきたりと評価するしかない。

純粋なドキュメンタリーとして作るならまた話は別ですが、フィクション映画として作る以上、そこに何らかの真実味がこめられていなくてはなりません。この映画に、普通の映画以上の、そうした真実味を感じさせるものがあるとは思われません。

いくら現実の事件を下敷きにしていると言っても、例えば最初の銃殺シーンなんかはきわめて平凡な意味で映画チックなのであって、それ以上のものではない。後で家族とのつながりで意味が分かるといっても、それで従来沢山作られてきた映画の枠を打ち破るわけではない。それをなぜ特別に評価しなければならないのか、最後まで納得することができませんでした。

また、四つの事件を描いた一種のオムニバス映画であるために、一つ一つのエピソードの掘り下げが浅くなっています。それも作品全体の物足りなさにつながっているのではないでしょうか。
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