罪の手ざわりの作品情報・感想・評価 - 2ページ目

罪の手ざわり2013年製作の映画)

天注定/A Touch of Sin

上映日:2014年05月31日

製作国:

上映時間:133分

3.7

あらすじ

「罪の手ざわり」に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 冒頭、一人の無表情な男がバイクに乗ってどこかへ向かっている。このオープニングは『青の稲妻』とよく似ているが、後ろから男を襲う若者たちが現れたとき、いきなり男は彼らに向かって拳銃を発砲する。男は何人かの人間を殺めるも、一人の男を取り逃がす。その男を後ろから追い、背中に向けて一発の弾丸を発射する。開巻直後、我々はジャ・ジャンクーの有り得ない暴力描写にしばし固まる。これまで一発のガン・ショットもナイフによるアクションも登場しなかった作家の突然の暴力の解禁にこそ、この映画の意外性が詰まっている。映画は一人の主人公ではなく、四人の男女の罪をアンサンブル・プレイではなくオムニバス形式で描く。ここで描かれる暴力は孤独な男の復讐劇である。貧富の格差が広がり、賄賂が横行している中国では、こういう搾取が見えないところで行われている。彼はその不公平さを是正しようと正義感で動くものの、ジャオの手下によって袋叩きにあう。地面に突っ伏した姿をゴルフのスウィングのように豪快に殴られたダーハイはたった一人で彼らを皆殺しにしようと猟銃を持ち出し、殺しのハントを始める。生きる尊厳を踏み躙られた男が、たった一人で敵のアジトへ向かう。口封じのためにもらった賄賂も彼をなだめる証にはならない。

 村長を殺し、村長の妻を殺し、ゴルフと揶揄う男を殺し、ジャオも躊躇なく殺す。それも至近距離から猟銃で弾を打ち込む残虐さで彼は自らの復讐を成し遂げる。2人目の時、オープニングを彩った無表情な男が再度登場する。男の暴力に怯える息子、妻と同じく三男の行動を疑う母親の描写もあり、男は知らずに罪を重ねていく。後半の市民を背後から撃ち殺して財布を奪う様子は残忍そのものでありなかなか正視出来ない。けれどジャンクーの対象の人物を真摯に見つめた目が、暴力そのものを肯定も否定もせず描く。風俗で働く年上の女に恋をしたり、工場で仕事をサボるうちに同僚に致命的なケガを負わせてしまうこともごくありきたりなエピソードであり、どこにでも転がっているアイデアである。極論を言えば、賄賂をもらったり汚職をしたり、女を脅迫して自分のものにすることが罪であるならば、猟銃で至近距離から撃ち殺したり、強盗をしたり、自分の身を守るために正当防衛で刺したり、不慮の事故で友人に大ケガを負わせてしまったことも程度の差こそされ、罪には変わらない。つまり悪というのは常に魔が差した瞬間から生まれてしまう。10年間ずっと悪いことをしてきた人間も、先ほどまで良い行いをしてきた人間も、罪を犯した地点からは同じ犯罪者であり、悪者に姿を変えてしまう。
え

えの感想・評価

3.7
気づいたらいつの間にか息ができなくなって喘いでいるよう
何もかも、いつも、突然
現代中国の貧富の差を描いた4つの短編オムニバス。貧困から罪に手を染める4人の物語。

飢餓と隣合わせの絶対的貧困ではなく、屈辱や妬みで心が焦がされていく相対的貧困の視点が、旧共産圏の国から出てきた事の味わい。

ただし、オムニバスという手法によってそれぞれのストーリーがコンパクトなので、タイトルの割には軽やかな印象。アジア映画特有のアクションの外連味も薫る。

質素で退屈な生活から、突如スイッチが入って残忍な犯行に手を染めるギャップの鮮やかさによって作品を成立させているので、ジャーナリズムと言うよりは演出の仕組みが前に出ている。
NAOKI

NAOKIの感想・評価

3.7
人気のない薄暗い展示室に大きな機織り機(はたおりき)が置かれていて、少数民族の衣装だろう…色鮮やかな服をきた少女の人形が座っていた…

きーがちゃん…きーがちゃん

少女の人形の手がしなやかに動いて機織り機が布を織り始める…

「機械仕掛けのロボット?」
おれは、それが本当の人間の少女だと気づいて愕然とした…
「少数民族には美人が多いですよ…ひひひ」
下品に笑う市職員の言葉を通訳が訳してくれた…

おれは息をつめて布を織り続ける美しい少女の横顔を凝視していた…

「長江哀歌」の巨匠ジャ・ジャンクー監督が現代の中国を切り取る四つの物語…

朝方に見るリアルな悪夢のような映画だった。
様々な理由で突然発動する暴力…その凄まじい映像と理不尽な迫力に凍りついた💦

なんだか不思議な映画でもあった…女性がクノイチみたいにナイフを構えたとき「おれはいったい何を見せられているのか?」という気分にもなった。
山の中…巨体なダム建設が行われているような川沿いの道…緑の印象がなく、砂利とホコリっぽい空気…
とにかく全編…現代中国の抱える闇と閉塞感がひしひし伝わって来るような風景ばかり…
リンゴやヘビが象徴的に描かれるのでキリスト教とかもテーマの根底にあるのかなぁ?とぼんやり思ったりもした…

おれは若い頃…仕事で中国の南寧市というところに行きました…日本の投資家を連れての視察だったため市の職員が接待をしてくれて、食事の後…郊外にある一種のテーマパークを案内してくれた。

出来たばかりのそのテーマパークはほんとに開園しているのか人っこ一人いない…中国各地の少数民族を紹介する施設でその民族の伝統的建物がパビリオンみたいになっていて、冒頭に書いた機織りの少女はある山岳少数民族のテーマ館にいたのでした。

聞くと各パビリオンにそこ出身の人がいて特産物などを紹介しているという。彼女(彼)たちは大使とかコンパニオンとかではなく民族衣装をつけた展示物に見えて…みんな美少女美男子ばかりだった…
まるで現地で捕まえてきたみたいに…💦

「まるで人間動物園ではないか?」

まだ若かったおれは中国という国を理解できなかった…
まるで多すぎる人たちの使い道に困っているような印象を受けたのだ。

このとき、南寧市で見たあらゆる事象は強烈におれの脳裏に焼き付き、この映画を見た時、まざまざと蘇ったのでした。

きーがちゃん、きーがちゃん
がちゃん…

機械が止まると…
美しい少女は、まるで本当の機械仕掛けの人形みたいにゆっくりとこちらを振り向いた…
cinemaQ

cinemaQの感想・評価

4.5
きらめくナイフ!
Keiji

Keijiの感想・評価

4.4
傑作。『青の稲妻』とほぼ同じシーンがあってビックリした
OANIL

OANILの感想・評価

-
実際に起きた殺人・強盗事件を題材にクロスオーバー型4話構成の映画
資本主義化したての中国で貧富の差が生む悲しい事件群を演出

デトロイトと同じような映画で、イデオロギーを反映させた作品としてストック化したい人が作った感が強い…
Ryoko

Ryokoの感想・評価

3.6
肥大化する中国という大きな箱の中で貧しさや閉塞感に苛まれながら生きる人々が罪を犯す(一部例外あり)姿を描いたオムニバス。事情はそれぞれながら、皆何かに憑かれているような静けさが付き纏い不気味さを感じさせる。絶望感、閉塞感、孤独、僅かな反抗心。剥き出しの暴力描写はなかなか激しい。
あえてなのか登場人物たちの表情の変化が乏しい。またこちらもあえての演出なのか出稼ぎ労働者たち、春節で里帰りする群集、村の権力者を讃えるために集めさせられた人たち、工場で黙々と作業する工員たち、みな顔つきが画一的。人間らしさとはいったい何だろうと根本的なことを考えさせられた。
神懸かり的ショットの連続でもはや物語が入ってこなかった。
暴力の見せ方もタランティーノから清から、いろんなパターンがあって楽しいし、『回路』ダイブもアツイ。