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白ゆき姫殺人事件のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
5.0
 日の出化粧品の美人OL、三木典子(菜々緒)が何者かに惨殺された。
不可解な殺人事件を巡り、ひとりの女性に疑惑の目が向けられる。
同期入社の地味な女性・城野美姫(井上真央)。
テレビのワイドショー取材に美姫の同僚、同級生、故郷の人々、家族や関係者が美姫についてのさまざまな噂を語り始め、ネットは炎上し、口コミによって噂は大きくなっていく。
湊かなえの同名小説を映画化。
原作の手法は、事件の関係者の証言やツィッターでのやりとりや雑誌の記事を実録本のように書いていたが、映画ではレポーターが事件の取材をしながらツィートしている内容やワイドショーが関係者が証言する様子の間に挿入されることで見事に映像化し、無責任に容疑者に悪意のある証言をする被害者の同僚やろくに裏もとらず取材内容をツィッターにだだ漏れさせて反応を喜んでいるレポーターや無責任に乗っかって盛り上がるネット住民などの浅はかさや無責任さを抉りつつ、さらにはネット住民は本当に相手に向き合ってコミュニケーション出来ているのかをブラックユーモアたっぷりに描いていて、蓮佛美沙子や小野恵令奈演じる被害者と容疑者の同僚や自分大好きなレポーターを演じる綾野剛や金子ノブアキが間違った印象や憶測を交えて無実の人間を容疑者に仕立て上げるような証言をする様子をワイドショーなどのスタイルで描いているのがワイドショーなどのブラックなパロディのようで、大笑いしながらも背筋が凍りついた後味を残すサスペンス映画の傑作でした。
容疑者にされて追いつめられる井上真央の抑え目の演技や井上真央の親友を演じる貫地谷しほりのボーイッシュな演技や菜々緒の性悪っぷりも、良かったです。
ラストは、赤毛のアンの設定をアレンジした希望や救いの感じられる展開で、じんわり沁みました。「自分の記憶で作られる過去と他人の記憶で作られる過去、どちらが正しいのでしょう」
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