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白ゆき姫殺人事件のtetsuのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.5
映画と学問、第2弾!
メディア専攻ということで授業で鑑賞!!

しぐれ谷の公園で発見された死体。
それは化粧品会社に勤めるOL"三木典子"のものだった。
TV番組のディレクターである"赤星"は、知人の"狩野"からタレコミ情報を入手。
同じ会社で働いていた地味な同僚"城野美姫"が彼女を殺したのではないか?という話を聞き、関係者に取材を始めるのだが...。

普段、洋画を観ることが多くなっていたが、やっぱり邦画もいいな~と思わされる一作だった!

なにより、内面描写が本当に素晴らしい。
見たくないようなゲスい感情が描かれた作品ではあるが、一方で繊細で純粋な心が丁寧に描かれていて、久々に感情が動かされるような作品に出会えたような気がする。
(↑ただ単に、最近、しっかり映画を観れていなかったのかもしれないが...。笑)

また、女優"井上真央"さんの演技も見事で、
健気すぎる"城野美姫"役が本当に似合っていた!
ドラマ版「花より男子」を観て子供の頃を過ごした自分としては、久々に彼女を見て、またファンになったかも...。笑
というか、あんな弁当、毎日作ってくれたら、
絶対、自分は一生ついて行きますけどね...。
(↑若干のネタバレをお許しください。笑)


そして、本作を語る上で、
避けることはできない

"メディアのあり方"

作中で、
ある登場人物が
「人間は自分に都合の良い記憶だけ残す。」
というように、まるで映画「羅生門」みたく食い違う証言者の意見。
そんな中から、面白いことを切り取ろうとするメディアの姿は、
視聴率や売り上げのために、
一瞬で人気タレントを芸能界から追放したり、人の人生を崩壊させる昨今のメディア状況を写し出しているようだった。

しかし、最も怖いのは、
それを肯定してしまう"大衆"なのかもしれない。
深く考えずに、そんな風評に二つ返事で納得してしまう人々。
それは根拠のない噂を大袈裟に騒ぎ立てる学生のノリとも通ずるところがあり、
高校時代、実際、そんなノリに悩まされた自分としても、中々考えさせられるものであった。

そう考えると、犯人の動機にも、
ある種、他人事で事件を楽しむ、そんな大衆の姿が投影されていたのかもしれない。

これまで苦労をしてきた人ほど
人の不幸を見て、安心することはあると思う。
とはいえ、僕自身は落ち着いた生活をしてきたため、そのような人達に比べれば甘く、これまでそのような事をほとんど思わないように生きてきたが、
そんな負の感情は少なからず、誰もが持っているのだと思う。

そんな"大衆"が無意識のうちに犠牲者を出さないためには、どうしたらいいのか?

これは難しい問いではあるが、
若いうちにメディアの状態を客観的に見て考えていくこと。
また、深く考えずに呟くことが、
そんな世論の形成に影響しているということを知り、責任ある行動をすること。
それらを一人一人が意識することで、
社会は変わっていくのかもしれない。

実際、
自分自身もtwitterやFilmarksに多く触れる人間なので、尚更、その点には注意していかなければならないと思った。

最後に、
この作品は、そんな重たい要素や問題提議も描いていたが、
SNS時代だからこそ見つめ直したい、
とても大切なメッセージを教えてくれる。

ーーーあなたは一人じゃない。

発達したネット社会で
いつでもどこでも簡単に人と繋がることが出来る時代。
だからこそ、その繋がりは簡素化され、twitterやLINEなどのメッセージも簡潔化される昨今ではあるが、
だからこそ、大切な事を見失わず、
自分という人間を信じてくれる、
そして、人を信じてあげられるような
人間関係を作ってくいくことが求められているのかもしれない。

そんな事を考えさせられる映画だった。

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授業メモ

授業:世論とマス・コミュニケーション
題材:暴走する世論
解説:
この作品では、取材からニュースの過程で都合良く切り取られる証言や、容疑者を異常なまでに追い詰めるネット社会が描かれている。
一般市民は推定無罪という原則があるため、作中ではそれが守られていないことが最大の問題なのだが、そこをマスコミが破りがちであるという現状は未だにある。
オウム真理教事件の際と比べ、今では過剰な報道もだいぶ落ち着いてきているものの、顔の見えない匿名社会だからこそ、SNSなど世論(=社会の空気)が与える影響は大きくなってきている。

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