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7番房の奇跡のaのレビュー・感想・評価

7番房の奇跡(2013年製作の映画)
4.2
なんで生きていくのってこんなに簡単じゃないんだろうって思う。
どうして人を愛すれば愛するほど、難しくなるんだろうって思う。

生きていたら、起きた物事に理由を求めたくなるのが人間。
自分はなぜこんなところにいるのか、
なぜこんなことが起きてしまったのか、
どこかに責任の所在を求めたくなる。

そこに自分なりの正義があり、求めるものがあるからこそ、冤罪は起きる。
司法は、推定無罪を忘れてはいけない。
ニュースで取り上げられる時、まだ容疑者であるはずなのに実名で報道されるのは何故でしょう。
わからなくなる、いろんなことが。
ニュースを見ているだけでは、その場に起こっていること、その場の人の思い、そこまで全てを分かり切ることは絶対に不可能。
自戒です。

パク・シネが出ているとは知らず。
こういう映画でパク・シネを見ると「ピノキオ」を思い出す。
「自分の言葉には責任を持たなければならない」
その言葉の重みがずっしりくる。

お父さん(ヨング)が選んだ道を、私は実の父親のことを思うと悔しくて悔しくて。
イェスンのために選んだとしても、もし私がイェスンだったとしたら、どうして一緒にいると言ってくれなかったのと泣きたくなる。
父親って普段は一緒にいる時間は圧倒的に少ないけれど、一緒にいてくれるだけで十分なのに。
どうしてもう無理だと決めつけてしまうんだろう。
どうしてもう少し生きようと思ってくれないんだろう。
それが責任を取るということなのかもしれないし、父の愛なのかもしれないけど。
一緒にいてくれるだけで良かったんだよ、と言いたくなる。

欲を言うなら、何が好きで、何が嫌いで、どんな時に喜びを感じ、どんな時に悲しむのか、どんな人間であってほしいか、未来に何を期待するか、そんな当たり前の心に触れられる質問がしたいだけ。
あなたという人間がいかに生き、どんな感情を持ち、どう進んできたか、知りたいのはそれだけなんです。

イェスンの幼い頃が可愛すぎて。
大切すぎて。
ヨングがイェスンのために取った行動全てが、愛でしかなく、余計に悔しく、愛しく、悲しい。
間違いなく名作。
泣きたくない時には見ない方がいいです。
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