満月の夜に「結合」しよう！
とか何とか言ってるデブなオッサンと、村の掟のせいで本当に「結合」させられそうになる主人公が、掟を破ったせいで大変なことになるオカルトホラー。
冒頭の味のあるアニメーションで村の因習が生まれた原因をサラッと説明してくれるのは有難いし、雰囲気も出てて良いんだけど、一から百まで長々と見せつけてくるからスマートさに欠けるように思えてダレたし、ちょっと鬱陶しかった。
とはいえ村の狂いようは見応えあり！
圧倒的な崩壊の恐怖を前にして縋るべきものからも見放された絶望の袋小路に追い込まれた時の文字通り藁にもすがりたくなる気持ちは良くわかるし、その藁が本当に救いを齎してくれたとしたら、藁が鉄にも鋼にもなってしまうのだろうし、そこから生まれてきた宗教はより強固に人々の心を縛り付けてしまうということなのでしょうね。
偶然の一致によって生まれた何の意味も持たない信仰に対するこれ以上にない悲鳴と生への渇望を体現する主人公の行動は、明らかに狂っているとはいえ最も正常な行動のようにも思えてくるし、山奥の村という閉塞感に満ちた共同体の全体を支配した価値観というものが、そうでもしなければ揺るがすことさえできないほどに如何に根深く強固なものなのかということを感じさせる。あの巫女的立ち位置の人は村八分に似た押し付けのようなものを象徴していたのでしょうね。
巫女が作ったツボに似てる顔をしてる奴が穴神様とかいうただの穴への生贄にされたり、婚前交渉はダメとか、結婚は村の人に勝手に決められるとか、主人公たちを縛り付ける掟もイカれてるんだけど、普通に近親相姦してる主人公とか、処女かどうか確かめるためにタバコ吸いながら股の中を確かめる母親とか、子宮から人の形になってない赤ちゃん引っこ抜いたりとか、イカれてるやつしかいないので退屈せずに見れました。
不安感を煽る不気味なスコアがオープニングとエンディングで流れるのですが、ここは良い余韻に繋がっていたし、ラストの2シーンの映像演出が神がかって良かった。ただその他の映像がかなりチープで、テレビドラマみたいな空気感が作品の纏う雰囲気とチグハグに感じたし、何でラストのような見せ方を本編でもっとできなかったんかが謎…。
あとヒロインのワキ毛の剃り残し、しかと見届けました！笑
