ヨシイコウタ

胸騒ぎの恋人のヨシイコウタのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
3.5
個人的にですが、今まで観た同監督の他作品と比べると少し入ってきづらかったかなという感じがしました。おそらく僕がまだあまりにも幼すぎるが故なので、もしかしたらそれなりに人生経験を積んだ方が観るとかえって新鮮に響く作品かもしれません。

「恋に支配されてはいけない」と誰かが言ったそうです。自分を見失ってしまうから、と。初めてその言葉を目にしたとき僕は(なんとなく)納得し、以来頭の中の見えるところに置いておくようにしていました。しかし恋は強大なもので、なんとか支配されないようにすることはできても逆に支配するのはまず不可能なものです。気を抜けばすぐに頭の中が熱くなってぼーっとして、その度に「ああ、いけないいけない」と頭を振り回していました。
不思議なのは、この作品を観ているとそういう恋がむしろ色彩溢れる魅力的なものに見えてくるということです。それを哀れむ目ではなく、素直に素敵だと思う心で見られる。よっぽど小さくない限り誰でも恋をしたことはあるでしょうから、この作品が多かれ少なかれ観客の心を揺さぶってくれる存在であることに間違いはありません。

今までに「トムアットザファーム」「マイマザー」「わたしはロランス」「胸騒ぎの恋人」と4作品観てきましたが、ドラン監督の表現のこだわりみたいなものが観られたこともとても面白かったです。スローモーション、背後の画、シンメトリー、多彩な色使い、音楽など、映画を観ていると何か芸術的な絵画を見ているような気持ちになります。それに触れることで、美しいものを美しいと思える心が刺激され、日常に鮮やかな色彩とみずみずしさをもたらしてくれます。なんだか毎日が退屈だなと思っている方がもしいたら、何かドラン監督の作品に触れてみることを(あくまで控えめに)おすすめします。