Kota

胸騒ぎの恋人のKotaのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
4.0
”唯一の真実は、愛の衝動だけ。”

タバコの煙。ストロボの光。マシュマロの雨。虚な赤、緑、黄、青、あぁ胸騒ぎが止まらない。同性愛者のフランシスと、彼の親友マリーが、ニコラという美しすぎる青年に恋をした。グザヴィエ・ドランの中でもかなり好きな今作を5年ぶりに再鑑賞。

二人が恋に落ちるまで、好きが止まらなくなるまで、そした恋が終わるまでが三章立てになっており、間には第三者が各々の恋愛観を語るシーンが挟まれる。この映画では直接的に二人がニコラを好きな事が最後の章までセリフに出てこない。けれどもありえない程のクローズアップと、ニコラを必ず真ん中にして揺れるように撮られるパンショットや引きのロングショット、そこに写る“無表情”や“苦笑い”が全てを物語る。

当時20歳のグザヴィエ・ドランも、マリー役のモニア・ショクリも素晴らしい演技なんだけど、これはなんといってもニコラ役を演じたニールス・ジュネデールの一人勝ち。ルックスへの自意識の高さと、それを妖艶に利用して人を狂わせる能力、その全てを持ってしても尚溢れ出る魅力。最早、男女の壁など関係ないかのように見ている観客ですら恋に落とす程。(ドランの映画はほとんどそうだけど)同性愛者であるという事がその人間のたった一要素と言わんばかりに大きな障害なく異性愛者と同等に扱われる所も良い。

誰しも恋に落ちた時に感じる悦びと苦悩。自分の事ではないと分かっていても、繊細な感情表現と美しいカメラワークに心がズキズキする。