だいき

胸騒ぎの恋人のだいきのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
3.6
唯一の真実は愛の衝動だけ。

アルフレッド・ド・ミュッセの言葉の引用から始まる本作。
一人の男を巡ってバトルが勃発する。
彼のことを好きになったのは一人の男と一人の女。
そしてその男女は親友である。
人を好きになるのはロマンスだけでなく、コメディであり、ミステリーでもある。
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なにより印象的だったのは、主要人物3人とは全く関係ないどころか、もはや映画の世界に属していない3人のインタビュー映像。
最初は何故必要なのか意味不明だし、正直映画の邪魔だった。
でも聞いていけば聞いていくうちに、主要人物3人の感情を話しているのではないかという気がしてきた。

胸騒ぎしているのは同じなのに、見えている景色、聞こえてくる音、目に入る光、過ぎていく時間、何もかもが異なる。
そのうえ自身もゲイだと公言しているドランのようなマイノリティは、より繊細で世界が難しく映るのだろう。
マシュマロの雨が降ってくるかのような甘い衝撃さえも、同性愛者でない、鍋の火が心配という一言で雨が止む。
人を好きになることはホラーでもある。

「バンバ〜ン」という音楽が耳に残る作品。
だいき

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