キミシマムザ裕君

それでも夜は明けるのキミシマムザ裕君のレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.7
1841年。バイオリンの達人ソロモンは自由黒人として不自由なく暮らしていたある日、サーカスの手伝いと嘘をつかれて奴隷として売られてしまい…

『SHAME』のスティーブマックイーン監督が黒人奴隷制度について真正面から描いた作品。1853年発表のソロモンノーサップによる「奴隷日記」が原作。制作にはあのブラッドピット。
2014年度アカデミー作品賞他多数部門を受賞。
アカデミー系はとりあえず見ておこうということで鑑賞。

重苦しいが、こういった歴史が実際にあったと学ぶためには必要な作品だと思った。
自分は白人でも黒人でもないためどこか異なった世界でのフィクションのような出来事だと思ってしまっていた黒人奴隷制度。もちろん義務教育や高校の世界史でしっかり勉強は受けたもののやはり身近に感じる機会はないためそこまで問題意識していなかった。
しかしこれを鑑賞したあとは少しは意識が変わったような気がした。
惨すぎる仕打ちには言葉も出なかった。拷問・鞭打ち・慰みものにされ、所有物としてしか扱われない黒人たち。その行為自体を悪いことだと認識できない多くの白人。悪いのは彼らというよりその歴史と文化というべきだろうか。
この映画はあくまで体験日記を基にしたフィクションなので全てを鵜呑みにする必要はないし、これを見て

「白人マジクソ野郎じゃんFuck!」

と短絡的に考えるのは良くないと思う。きっと自身も黒人であるマックイーン監督はこういう歴史が、時代があったんだということを世界に伝えたかったんじゃないだろうか。

キャストは思ったより豪華で笑う。
主演はキウェテルイジョフォー。
これまでも様々な映画に出演していたようだが、名前を見たのは初めて。というか覚えづらい名前やな!!アカデミー主演男優も大納得の渾身の演技。バイオリンは本当に弾けたのかな?
パッツィ役にルピタニョンゴ。
こっちも名前覚えづらい!!助演女優賞も獲ってる!
なぜ必死に覚えようとしたかというとそれはもちろん『スターウォーズ』の新作のクレジットに彼女の名前があったからだ!!全然面影なくてわからなかった!!
そしてここから白人キャストはオールスター感謝祭!
奴隷を売りさばく商人役に便利な脇役ポールジアマッティ。
(別称:あだ名付けちゃう野郎)
優しいけど奴隷制度には逆らえない農場主役に『SHERLOCK』『イミテーションゲーム』のベネディクトカンバーバッチ。
(別称:チキン野郎)
次のドS農場主はマックイーン監督常連『X-MEN』などのマイケルファスベンダー。
(別称:クソ野郎)
ソロモンをいじめる大工の役に『プリズナーズ』『リトルミスサンシャイン』のポールダノ。
(別称:口だけナヨ野郎)
そして自由を謳うカナダ人大工で役にブラッドピット。
(別称:良いとこどり野郎)

題材が重く何度も見たいと思えるような心地よい作品ではないが、アメリカの歴史の一部として少しだけ学ぶにはちょうどいい作品だと思った。映画としても音楽の使い方など個人的には好きだ。と思ったらやっぱりこの人ハンスジマーだったか。

黒人奴隷制度を知りたい人、アカデミー作品賞をみてみたい人、そしてブラピがまじでいいとこどりするのを見たい人にはオススメの作品。