ねぎおSTOPWAR

それでも夜は明けるのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
4.0
アカデミー受賞作品を観よう22(2013年第86回作品賞/脚色賞/助演女優賞)

まず言っておきますが、1850年代前後のアメリカにおける奴隷制度を、こうしてアフリカンアメリカンを主人公に描き、またそれを作品賞に選出する度量を、尊敬してやみません。
やったことは最悪でも、それを認めこうして表現することは簡単じゃない。素晴らしいことだと思います。

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アメリカは最悪です。

全員が賛同し、奴隷に非人間的な扱いをしたわけではないのでしょうが、生命とさらに尊厳までも徹底的に奪う所業は何年経とうが許されるものではないと思います。
世界的にはナチスドイツの行いが糾弾され、映画もたくさん製作されています。
比べることになんら意味を感じませんが、戦勝国はいろいろなことが許されてしまうことには憤りますね。

この映画は実在のソロモン・ノーサップ氏が解放後に執筆した「12years a slave」を原作に、"黒人"脚本家のジョン・リドリーが脚本を書き、イギリス人で”黒人”のスティーヴ・マックイーンが監督をしました。製作にはPlanBつまり出演もしているブラッド・ピットが参加しているのですが、やはり"白人"がこれを作るのではないということ。その意味では「ジャンゴ」を作ったクエンティン・タランティーノは異質というか立派!

ストーリーは、《自由黒人》であったソロモン・ノーサップさんが騙され、拉致され、奴隷として売られて12年も苦しい日々を過ごす話です。「~夜は明ける」し、12年なので最後は見えるんですがね。
しかし彼が去る農場に残される奴隷もいるし、そもそも《自由黒人》ってなんなのだろう。誰がどう認めるのか?同じ人間を、どう考えると「持ち物」と言い切れるのか?


・・・毎度言っていますが、こうして何かに刃を向けると、それは自分に向かってきてしまいます。度合いやら差こそあれ、日本人も他国民に非人間的な扱いをし、尊厳を奪った事実はあるわけで・・。そして日本は自国の歴史を正面から見据え、映画を作ることも作られたものを評価することも出来ない。いやむしろ上映中止に追い込もうとすらしてしまう。