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それでも夜は明けるのsensatismのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.0
2020/102
何がキツかったかって黒人奴隷は殺される権利もないということだよ。殺される権利っていうのも可笑しな話だけど、要は人のモノを盗むのも壊すのもいけませんねって理論が人間に通じてしまっているということ。所有物の命の行方は所有者が決める。だから、所有者以外のヒトが所有物を勝手に殺すことは許されない。

良かった点は女性黒人奴隷特有の起こりうる弊害も拾われていて良かった。彼女たちは主人からレイプされるし主人の妻からは妬まれる。板挟み状態。
殺してくれと哀願するあの彼女は主人公が農園を去ってからどうなったのだろう。

この映画は黒人が差別に闘って勝つ話ではない。ある1人の(黒人奴隷の中では)比較的恵まれた環境にいた主人公が12年間じっと暴力に耐え続ける様子を見つめる映画だ。
"可哀想だけど良かったね"なんてぬるい感想を口に出させない容赦の無さがある。
紛れもないノンフィクションストーリーという点にも殴られた気分になる。
でもそういう感覚を持ち続けることは大事だと思う。常に、は無理かもしれないけど忘れていた頃にたまに平手打ちされないと。傷付いて思い出して考えて少し覚えておかないと。

ところで、"あきらめない"ってキャッチコピーおかしくない…?映画観なかったんだよね、そういうことだよね?
キラキラ要素ないと観客動員できないの?本当に?
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