タラコフスキー

オーソン・ウェルズの フェイクのタラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.9
まるで60年代のゴダールが撮ったかのような、映画を含めた虚構について考えさせられるオーソン・ウェルズ後期の傑作。

タイトルの通りフェイクドキュメンタリーだが、前半は実在のペテン師を起用したインタビューがメインということもあって、どこから脚色や演出が施されているのか良い意味でわかりにくいところがあり、後のキアロスタミやパナヒの作品に通じる面白さがあった。

しかも途中で話題に上がるハワード・ヒューズに関連して、オーソン・ウェルズ自身や彼を知るジョセフ・コットンらが市民ケーンやそれ以前の活動について語る場面も出てくるのだけど、彼らの遺した伝説を彼ら自身が述べているのは実に貴重で胸が熱くなった。

そして後半はピカソと謎の女を巡る話が展開されるのだけど、ここからこの作品の真骨頂とも言えるシーンに突入し、その工夫の施され方にはオーソン・ウェルズの歳を食っても健在の奇才ぶりを感じて唸らずにはいられない。

作品の存在を知ってから期待はしていたものの、その期待を遥かに超える哲学的力作となっていたのは流石の巨人オーソン・ウェルズだった。