とみやま

オーソン・ウェルズの フェイクのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

贋作作家エルミアと彼の伝記を書いた作家アーヴィングを追うドキュメンタリー映画。
それでありながら、映画はペテンで嘘で出来てるんだ、というメタ視点によって成り立っている。語りはオーソン・ウェルズ自身。しかもその大半は、映画の編集をする暗い部屋で、編集された映画の映像、つまり自分がこれから見ようとしている『フェイク』の映像を眺めながら語る。で、ドキュメンタリーの映像とオーソン・ウェルズの語りのカットを怒涛のテンポで流す。編集を意図的に見せるから実際の出来事と嘘の区別がつかなくなる。とにかく面白いぞ、という感じ。ドキュメンタリーだったものが別のものに形が変わっていく。

「これから始まる1時間は事実だ」という語りから始まり、どんどん異常な展開になっていく。アーヴィングもまた贋作作家だったことがわかり逮捕され、ピカソとエルミアの関係の話になる。え、え、どういうこと?の連続。で、最後に「最初の1時間は事実だったけど、さいごの17分はデタラメです。わかんなかったでしょ。映画なんてそんなもんさ」と、けろりと語る。が、アーヴィングの件は本当らしい。そんなこと、観てる側には分からない。虚実をごちゃ混ぜにすることで、ひとつの作品になる凄さ、だね!
とみやま

とみやま