垂直落下式サミング

ジャッカス クソジジイのアメリカ横断チン道中の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.2
人の良識を秤にかけるクソなモニタリングドラマ。母親が服役するため養育できなくなった子供を、祖父が父親のもとに送り届けるロードムービー。
老人メイクをしたジョニー・ノックスビルが、サシャ・バロン・コーエン方式で素人にドッキリをしかけて、その様子を繋げてドラマにしている。
長年連れ添った妻の死をうけて、独身だ!自由だぜ!と喜ぶ晴れやかなオープニングは『オースティン・パワーズ・デラックス』へのオマージュなのか。ジャッカスでもリスペクトしてたもんな。どうでもいいか。
アーヴィングじいさんが孫を連れて行く先々で騒動を巻き起こしてゆくのですが、まー、酷い。お前は他人を試せるほど優れた人間なのか?神でないものが人に試しをあたえるなど傲慢ではないのか?そんなことはアーヴィングじいさんには関係ない。糞垂れジジイによる不謹慎な聖痴愚の物語が、アメリカをぶったぎる。
変なやつに関わってしまったがために面倒くさいことになったなと一般人が狼狽する姿が本作の見所であるが、そこで弱者に対する不寛容であるとか、他人への無関心であるとか、無自覚のうちに口に出してしまっている差別意識であるとか、正義を振りかざす人の恐ろしさであるとか、自分に矛先が向かないからといって無関係を決め込む人の残酷さであるとか、そんな不謹慎な事象を写し取ろうなんていう『ボラッド』的な優等生な気概はいっさいなく、目的は糞をぶちまけることなので、やってることはただ単にくだらない。
子役のジャクソン・ニコルって、パリストン・ヒル的なギャグかと思ったら本名なのね。小憎らしいガキなんだけど、だんだん可愛くなってくる。助手席に子供を乗せて何度となく事故るが、頑丈なアメ車だから大丈夫だ!
でも、最後は泣かせる。ライアンよ安らかに。