うめ

ダーク・ブラッドのうめのレビュー・感想・評価

ダーク・ブラッド(2012年製作の映画)
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 1993年、ジョルジュ・シュルイツァー監督のもとで撮影が進められていた本作。しかしクランクアップを10日後に控えた1993年の10月31日、リヴァー・フェニックスが急死。よってお蔵入りとなっていたが、2009年、大病を患っていた監督が作品として完成させることを決意。編集などの作業を経て、2013年に公開された。リヴァー・フェニックス最後の演技を、未完成であれ作品という形にしてくれた監督に感謝したい。

 アメリカ西部の砂漠地帯を旅行中のハリーとバフィーの夫婦。車が故障し、助けを呼ぼうにも周りに何もない状態で困り果てていたところ、バフィーが遠くに明かりを見つける。向かってみると、ネイティブ・アメリカンの血を引く青年ボーイが住む小屋があった。夫婦はボーイに助けられるものの、ボーイの奇妙な行動や雰囲気によって、三人の関係に少しずつ変化が生じていく…撮影されていない部分があるが、監督自身によるナレーションによって補われているので、ストーリーに欠けているところはない。

 監督のナレーションの部分を実際に撮影していたら、どういう映像が、どういうストーリーが出来上がっただろうと想像してしまった。少年のあどけなさがあった10代からすっかり大人の男性に成長した20代のリヴァー・フェニックス。だが、相変わらずどこか影のある雰囲気や演技の間に挟む、ちょっとした仕草なんかは健在で、やっぱり素敵だなぁと思わせる。今作の役柄も、今までの作品同様、見事に彼のものになっていた。

 未完の作品なので、私の基準では評価点をつけることは不可能ですが、でもリヴァー・フェニックスの演技、そして彼と共演したジュディ・デイヴィスとジョナサン・プライスの演技は観て損はない作品。